父が
亡くなった。
92歳。
大往生であった。
亡くなる1週間前、見舞いに行った。
父は、ポツリ、ひとこと。
「バチがあたった。」と
初めてだった。
どちらかというと、強気な父が、
こぼした言葉。
僕は、
「そんなことないよ。」と。
その1週間前に見舞いに行った時、
昼食の時間で、看護師が食事の用意をしていた。
僕は、「いつも、すみませんね。頑固な父だから、迷惑かけて・・・」と言うと、
その看護師は、「いえいえ。あの私、先生の教え子なんですヨ。」と語る。
そう、父は、小学校の先生だった。
退職してからも、教え子の年賀状の多さに、
慕われていたのが、かいまみえた。
家では、厳格で、厳しい父だったが・・・・
その看護師も、
「いい、楽しい先生でしたヨ。みんなからも、好かれてましたヨ。」
かいがいしく、父を食事の手助けしながら語る。
なんか、すごく、心がほっこりしながら、帰ったのだった・・・。
そんなことも、あって、
この日の弱気な父の言葉に、
僕は、
「あの教え子だった看護師が、この状態のときに、かいがいしくしてくれるし、
いつも、近くにいてくれるんだから・・・
そう、お父さんが、昔、蒔いた種が、
いま、ちゃんと、咲いているんだよヨ。」と、言った。
そしたら、弱気な父が、ふと、微笑んだような・・・。
僕は、その言葉を残し、
病院を後にした。
帰る道すがら、
”人生は、捨てたもんじゃない。”と思った。
それが、父との最後の会話だった。
心残りのない会話だった。
本当に
本当に
お父さん、
ありがとう。
また、逢いましょう。
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